無垢な少女グレートヒェンを悲運のどん底に落とし心身ともに疲れきったファウストは、しかし「最高の生き方をめざして絶えず努力をつづけよう」と決意する。第一部の執筆後、二十年以上の休止を挟み、死の前年に完成に至った壮大な戯曲の第二部。(全二巻)〈巻末エッセイ〉,,,
あらゆる知的探究も内心の欲求を満たさないことに絶望したファウストは、悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結ぶ。巨匠ゲーテが言葉の深長な象徴力を駆使しつつ自然と人生の深奥に迫った大作の第一部を、翻訳史上画期的な名訳で贈る。読売文学賞受賞作。訳者による解説,,,
「格差ってのは上と下にだけあるんじゃない。同じ高さにもあるんだ」。高度200メートル。僕はビルの窓を拭く。頭の中で響く声を聞きながら。ある日、ふとガラスの向こうの老婆と目が合い……。境界を越えた出逢いは何をもたらすのか。無機質な都市に光を灯す「生」の姿を切,,,
手話通訳士・荒井尚人は、結婚後も主夫業のかたわら通訳の仕事を続けていた。そんなある日、ろうの妊婦から産婦人科での通訳を依頼される。荒井の通訳は依頼者夫婦の信頼を得られたようだったが、翌日に緊急のSOSが入り――(「慟哭は聴こえない」)。旧知のNPO法人から,,,
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者のファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が,,,
銀河共同体(GC)に加盟することになった未知の種族トレミ・カ。貴重な資源を産出する彼らの宙域と、GCセントラル領域を繋ぐ超光速航行用‘トンネル’の建設、という大仕事を受注した宇宙船〈ウェイフェアラー〉は、一標準年近くにおよぶ長く賑やかな航海を続けていた。訪,,,
故郷を失った地球人類は、多様な種族が共存する銀河共同体(GC)に加盟を許され、弱小種族ながら繁栄を享受していた。宇宙船〈ウェイフェアラー〉は、超光速航行のためのワームホール、通称‘トンネル’建設専門の作業船である。多種族混成の寄せ集め乗組員とつぎはぎだらけ,,,
旅先で訪れた図書館で、世界中の無名の死者の生涯だけを記録した書物に出会い、父親の項を読みふけるという表題作をはじめ、音楽的手法、絵画的手法、映画的手法と、自在に変化するスタイルで描かれた死と愛をテーマとする、幻想的で美しい、しかも皮肉な味わいをもそなえた九,,,