幕末、日本近海には外国船が頻繁に出没し、徳川幕府の動揺をさそっていた。一方、貧窮のつづく禁裏では、今上の帝(孝明帝)が暗澹たる世情を憂いておられる。そうした折り、生を享けたのが明治天皇であった。浦賀に現れた黒船は、徳川二百六十年の泰平の夢を破った。激しく開,,,
新進気鋭の弁護士・百谷泉一郎は、川瀬産業社長・川瀬雄三から、「奇妙な死の予感」のため、「死後をよろしく」と依頼されて、顧問弁護士となった。それから3日後、その予感は的中し、川瀬は、3番目の妻・綾子のベッドで、ナゾの毒死をする。当然、綾子は容疑者として法廷に,,,
長崎の豪商・平戸屋民右衛門は、江戸に7軒の出店を持ち、年に1万両ずつ長崎へ送らせていた。その民右衛門が獄死して5年、出店の一つ、松戸屋の主人・仁右衛門と、蔵にあった預り金35万両が、ある日突然消えてしまった。曰くありげな浪人・阿保八郎は、娘曲芸師・子狐太夫,,,
時は幕末。米問屋近江屋の娘で主のお蘭は、男まさりの商売人で肝が据わっている。江戸へ向かう途中で、幕府の歩兵を名乗り官軍を見つけるというタカリの者とも堂々とやりあい、挙句のはてには六連発銃まで出して追い払った。そこに居合わせた志賀仙三郎は助けに入り、二人は出,,,
難破して無人島で死んだ7人の仲間に頼まれて、7人の人間を探すために、大枚の金子を懐中に江戸へ出て来た海の男・黒潮太郎は、第一の尋ね人・お弓に会うため浅草へ出たが、そこで不思議な女占師・天明堂白蘭に会い、第一の尋ね人の手がかりを掴んだ。白蘭と、浅草で知り合っ,,,
天皇親政を願う後醍醐天皇の檄に応じた楠木正成は、金剛山の小城赤坂に兵を挙げた。自軍に百倍する幕府軍を翻弄するも、天皇は捕われ、隠岐に流された。潜伏した正成の奪回工作は成功し、隠岐を脱出した後醍醐天皇は、船上山に倒幕の旗をかかげた。機を見るに敏な足利高氏は幕,,,
老中・水野の悪事を暴くため、南町奉行の内命を受け、金座役の手代にもぐりこんだ代二郎は、鳥居耀三の配下の者に付け狙われてしまった。なんとか1軒の小料理屋を見つけ、そこに上がり込むと、そこの女将は……。時代小説の名手の十八番とも言える反鳥居ものの傑作ほか、時に,,,