竪川に上った不審な水死人の素姓を洗って、聞きこみを続ける伊之助の前にくり広げられる江戸の町人たちの人生模様──。そして、闇に跳梁する謎の殺人鬼による、第二、第三の殺人――。伊之助の孤独な探索は、大店の主人や寺僧たちの悪と欲の世界を明るみに出すが……。元は凄,,,
身体を悪くして以来、すさんだ日々を過ごす鳶の安蔵。妹みゆきは、兄の立ち直りを心の支えに、苦界に身を沈めた。客のあい間に小銭をつかみ、兄に会うみゆき。ふたりの背に、冷たい時雨が降り注ぐ…。表題作のほか、「雪明かり」「闇の顔」「意気地なし」「鱗雲」など、不遇な,,,
神風特別攻撃隊第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。敗戦を知らされないまま、玉音放送後に「最後」の特攻隊員として沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。すでに結婚をして家庭の幸せもつかんでいた青年指揮官たちは、その時をいかにして迎えたのか。海軍兵学校の同期生,,,
お家乗っ取りを策謀する黒幕のもとから、五人の刺客が江戸に放たれた。藩内の隠された罪と疑惑を探る忍びの集団「嗅足組」を抹殺するためにである。身を挺して危機を救ってくれた女嗅足の頭領佐知の危難を救うべく、青江又八郎も刺客を追って江戸へ――。